手元ガイド課題A編
課題Aの70分は、同じ AI を「設定が何も無い状態」と「設定ファイル一式を置いた状態」の両方で使い、その差を自分の手元のファイルとして残すために使います。前半の A-0 から A-2 では、テンプレートも規約も無いところから備品管理アプリを立ち上げ、できたものへの不安を自分の言葉で書き出します。後半の A-3 から A-6 では、配布フォルダの中で待機している設定ファイルを配置し、応答の形が変わることを確かめ、最後にコマンド1本で点検から報告書までを回します。
このページは演習中に手元で開いておく資料です。手順の本体は配布フォルダの exercises/exA0_baseline.md から exA6_compare.md にあり、内容は同じです。画面で図を見ながら進めたいときはこのページを、ファイルに書き込みながら進めたいときは exercises/ を使ってください。
課題Aは7つのステップに分かれています。前半3つは設定ファイルが1つも無い状態で進み、A-3 で設定ファイル一式を配置してから、後半3つが動きます。折り返し地点がどこにあるかを最初に頭に入れておくと、いま自分がどちら側にいるかを見失いません。
A-3 の前後で変わるのは AI の性能ではありません。同じ Sonnet 4.6 が同じフォルダを見ています。変わるのは、AI が起動時に読み込める材料の量です。素の状態では、AI が知っているのはあなたが送った文と、AI が自分で開いたファイルの中身だけです。設定ファイルを置くと、そこに書いた前提が毎回の会話の出発点になります。
課題Aでは「なんとなく動いている」で先へ進まないよう、実データの件数で合否を判定します。次の4つの数字は kadaiA/dummy_data.csv の実物から数えたものです。演習中は何度も参照するので、いま覚えておいてください。
カテゴリは PC周辺機器・AV機器・家具・事務用品・その他の5種類です。備品1件あたりの項目は、備品コード・備品名・カテゴリ・在庫数・保管場所・購入日・備考の7つです。詳細表示で7項目すべてが出ているかを A-1 の OK基準で確認します。
A-0 から A-6 まで、すべて同じ7つの見出しで書かれています。この順番には意味があります。手を動かす前に目的を読み、手を動かしたあとに自分で考える欄で立ち止まる。生成物と OK基準で「終わった」を自分で判定できるようにし、追加と考察で仕組みの説明を受け取る。発展課題は時間が余った人向けです。
| 見出し | そこで何をするか | 飛ばしてよいか |
|---|---|---|
| 目的 | このステップで何を体験するのかを先に把握します | 読んでください。時間は30秒です |
| 操作 | 実際に手を動かす手順です。番号順に進めます | 本体です |
| 自分で考える | 手を止めて考える問いです。答えは memo.md に書きます | ここを飛ばすと A-6 の比較が書けなくなります |
| 生成物の名前と場所 | 何が、どのパスに残るかを確認します | ファイルを取り違えたときの復帰点になります |
| OK基準 | 終わったと言える条件です。件数など数字で判定します | 次へ進む前に必ず確認します |
| 追加と考察 | 仕組みの説明です。なぜそうなるのかを補います | 時間が無ければ休憩中に読んでも構いません |
| 発展課題 | 余った時間の使い道です。全員がやる想定ではありません | 飛ばして構いません |
handson/memo.md には A-0 から A-6 までの見出しが空のまま並んでいます。各ステップの「自分で考える」で出した答えは、対応する見出しの下に書き足してください。見出しの文字列は変えないでください。A-5 で /selfcheck が ## A-2 の位置を探して読み込むため、見出しがそのまま目印になっています。
最初の5分は何も作りません。作業するフォルダに AI へ渡す設定が1つも置かれていないことを、自分の目で確かめることに使います。基準点を取らずに変化を語ると、印象の話で終わります。
| 触るフォルダ | handson(VSCode で開いているフォルダ全体) |
|---|---|
| 生成物 | handson/memo.md の ## A-0 に3行以上 |
| 終わったと言える状態 | CLAUDE.md・.claude・docs が無いことを確認し、AI の回答を1つ受け取っている |
| 難易度 | 1 / 3(操作の練習を兼ねています) |
今から作業するフォルダに、AI に渡す設定が1つも置かれていないことを確認します。このステップ単体では何も作りません。それでも最初に置いているのは、あとで設定ファイルを配置したときに「何が変わったか」を言えるようにするためです。
A-3 以降で「前はこうだった」と言うためには、いまの状態を記録に残しておく必要があります。研修が終わって社内で説明するときも、前後の差が手元のファイルとして残っているかどうかで説得力が変わります。
handson フォルダを開く
メニューから「ファイル」→「フォルダーを開く」を選び、配布フォルダの中の handson を選びます。キーボードなら Windows は Ctrl+K のあと Ctrl+O、Mac は Cmd+K のあと Cmd+O です。
kadaiA や kadaiB を単体で開かないでください。単体で開くと、A-3 で配置する設定ファイルが読み込まれる範囲の外に出てしまい、以降のステップが動きません。作業対象は @kadaiA/ のようにパスで指定して切り替えます。
画面左のエクスプローラで handson の直下を上から下まで眺めます。次の2つが無いことを確認してください。
CLAUDE.md というファイル.claude というフォルダ
.claude は先頭にドットが付く隠しフォルダです。VSCode のエクスプローラでは既定で表示されます。見当たらなければ、それは「無い」という意味です。
代わりに _harness_kit というフォルダがあります。この中に設定ファイル一式が入っていますが、いまは開かないでください。中身を先に読むと、このあと5分かけて確かめることの答えを読んでしまうことになります。
VSCode の左端に縦に並んでいるアイコン列(アクティビティバー)から、Claude Code のアイコンをクリックします。パネルが開き、入力欄が表示されます。
ターミナルで claude と入力する起動方法もあります。本研修ではパネルからの起動に統一します。操作の説明が1本になるほうが、詰まったときに原因を切り分けやすいためです。ご自身の環境ではどちらでも構いません。
入力欄に、次の2点を尋ねる1文を自分の言葉で書いて送ります。短くて構いません。
ここで書いた文面は、A-3 でもう一度そのまま使います。送ったあと、自分が何と書いたかを memo.md に控えておいてください。同じ問いを2回送るからこそ、答えの違いが設定ファイルによるものだと言い切れます。問いが違えば、答えが変わった理由を問いの側に持っていかれます。
hints/step01_first_prompt.md にあります。自分で1文書けたなら、開かずに進んでください。次の2つを開いて中身を見ます。読むだけで、まだ何も作りません。
kadaiA/docs/お題シート.md:これから作る画面の要件が書かれていますkadaiA/dummy_data.csv:備品データの実物ですCSV は1行目が見出し行で、そのあとにデータが50行続きます。カテゴリは PC周辺機器・AV機器・家具・事務用品・その他の5種類です。備考の列は空欄の行が22件あります。この数字はあとで OK基準の判定に使うので、いま見ておいてください。
設定ファイルが1つも無い状態で、AI がこのプロジェクトについて知っていることは、あなたが送った文と、AI が自分で読みに行ったファイルの中身だけです。では知らないことは何でしょうか。次の3つの視点で考えると出しやすくなります。
| 視点 | 自分に問いかける形 |
|---|---|
| 決まりごと | このプロジェクトで守るべき書き方や禁止事項を、AI はどこから知るのか |
| 前提 | 誰が何のために使うアプリなのか。どこまで作れば完成なのか |
| 手順 | 作ったあとに何を確認すればよいのか。確認結果はどう報告されるのか |
思いついたものを memo.md の ## A-0 の下に3つ以上書き出します。正解はありません。A-3 で答え合わせをするので、いま思ったことをそのまま書いてください。
handson/memo.md は最初から handson 直下にあり、A-0 から A-6 までの見出しが空のまま並んでいます。該当する見出しを探して、その下に書き足してください。見出しの順番は入れ替えないでください。
handson 直下に CLAUDE.md・.claude・docs が無いことを、エクスプローラで目視確認したmemo.md の ## A-0 に、AI が知らないと思うことを3項目以上書いた
2番については、AI が「このフォルダには設定ファイルが見当たりません」のように答えれば同じ意味です。言い回しの一致は求めません。逆に、AI が特定のファイル名を挙げて「これを読みました」と答えた場合は、開いているフォルダが handson ではない可能性があります。エクスプローラの一番上に表示されているフォルダ名を確認してください。
kadaiA/docs/お題シート.md には、技術スタックの指定がありません。使う言語も、ライブラリも書かれていません。これは書き忘れではなく、意図的に空けてあります。
指定が無いとき、AI は自分で選びます。選んだ結果が自分の環境で動くかどうかは、選ばれてみるまでわかりません。A-1 では、この空白を自分の指示でどこまで埋めるかを試します。埋めなかった分だけ、AI の判断が入ります。
dummy_data.csv を AI に読ませずに、「このフォルダにはどんなデータが入っていそうか推測してください」と聞いてみてください。フォルダ名とファイル名だけから、AI が何をどこまで言い当てるかを見ます。
推測と実物のずれが、そのまま「文脈を渡していない状態のずれ幅」です。ずれた項目を1つ memo.md に書いておくと、A-3 で設定ファイルを置いたあとの比較材料になります。
.claude フォルダが見えているhandson であることを確認してください。それでも .claude がある場合は、_harness_kit からコピーされた状態です。演習の出発点としては不都合なので、講師に声をかけてください。genai-nyumon-handson.zip を右クリックして「すべて展開」から展開し直してください。設定ファイルが1つも無いまま、自然言語の指示だけで動くアプリを立ち上げます。速さと手軽さを体で覚えるのがこのステップです。この15分は講師が巡回しません。全員が自力で動く時間として意図的に空けています。
| 触るフォルダ | kadaiA/(VSCode で開いているのは handson) |
|---|---|
| 生成物 | handson/kadaiA/index.html |
| 終わったと言える状態 | ブラウザで一覧50件が出て、検索と詳細表示が動く |
| 難易度 | 2 / 3(指示の分け方が主題です) |
テンプレートも雛形も無いところから、指示だけでアプリが立ち上がることを体験します。
もう1つ、指示を分けて出すことの効果を確かめます。1回で全部を頼むと、返ってきたものが自分の想像と違ったときに、どこから直せばよいかがわかりません。3回か4回に分けると、1回ごとに画面を見て、次の指示で方向を足せます。この差は A-6 の比較にも効いてきます。
handson です。kadaiA を単体で開いていないことを確認してください@kadaiA/ のようにパスで指定します。ファイルを名指しするときは @kadaiA/dummy_data.csv のように書くと、AI がそのファイルを読みに行きます最初の指示で伝える内容は次の4点です。文面は自分で組み立ててください。
| 伝えること | 具体的に | 落とすとどうなるか |
|---|---|---|
| 読ませるファイル | @kadaiA/dummy_data.csv | AI が架空のデータを埋め込みます |
| 作るもの | 備品の一覧を表で表示する画面 | 要件が発散します |
| 置き場所とファイル名 | kadaiA/index.html | 別の場所に置かれ、A-5 の点検対象から外れます |
| 動かし方の条件 | ブラウザで開くだけで動く形にすること | サーバー起動が必要な作りになり、確認のたびにコマンドが要ります |
4点目を落とさないでください。ここを書くか書かないかで、このあと10分間の作業内容が変わります。理由は「自分で考える」で扱います。
hints/step02_crud_build.md にあります。まず自分で書いてみて、指示が通らなかったときに開いてください。
VSCode のエクスプローラで kadaiA/index.html を右クリックし、「エクスプローラーで表示」(Mac は「Finder で表示」)を選びます。表示されたファイルをダブルクリックすると、既定のブラウザで開きます。
一覧が表示されたら、件数を数えます。50件あるはずです。ここで件数が足りない場合は、先へ進む前に直してください。データの読み込みが途中で切れている状態のまま機能を足すと、原因の切り分けが難しくなります。
備品名の一部を入れると一覧が絞り込まれる検索を足します。伝えるのは「何ができるようになってほしいか」です。実装方法は指定しません。
ブラウザを再読み込み(F5、Mac は Cmd+R)して、動きを確認します。試しに「ノート」と入力してください。3件に絞り込まれます。
一覧の1件をクリックすると、その備品の全項目が見える表示に切り替わり、一覧に戻れるようにします。全項目とは、備品コード・備品名・カテゴリ・在庫数・保管場所・購入日・備考の7つです。
ここでも実装方法は指定しません。別ページに遷移するか、同じページ内で表示を切り替えるかは AI が選びます。選んだ結果を見てから、気に入らなければ次の指示で変えれば十分です。
表示が崩れている、文字が詰まって読みにくいといった不満があれば、そこだけを差分で伝えます。「作り直してください」ではなく「ここをこう変えてください」と伝えるほうが速く、いま動いている部分が壊れにくくなります。
残り時間が3分を切ったら、見た目には手を付けずに次のステップへ進んでください。A-1 の目的は完成度ではありません。
ブラウザには、ローカルのファイルから別のローカルファイルを読み込むことへの制限があります。index.html の中から dummy_data.csv を通常の方法で読もうとすると、この制限に当たって読めません。AI はそれを避けるため、簡易サーバーを起動する前提の作りを選ぶことがあります。そうなると、アプリを見るたびにコマンドを実行することになり、確認の手間が増えます。
指示に添えた一文が、環境構築の有無を決めています。指示の中でどこを譲れないと伝えるか、という判断がそのまま実装の形に出た例です。自分の指示のどこがこの結果を決めたのか、memo.md の ## A-1 に1行書いておいてください。
単一ファイルが基本です。AI が CSS や JavaScript を別ファイルに分けた場合も、kadaiA/ の直下にまとめて置かせてください。別の場所に置かれると、A-5 の /selfcheck が点検対象として拾えないことがあります。
元データが変わると、50件という判定基準が使えなくなります。A-3 で配置する .claude/settings.json は、このファイルの編集を禁止する設定を持っています。それまでは自分で気をつけてください。
index.html をダブルクリックするだけで動く(コマンドの実行が不要)3番の詳細は、7項目すべてが出ていることを確認してください。備考が空欄の備品も50件中22件あります。そのうち1件を開いて、表示が崩れないかも見ておきます。ここで崩れていても、いまは直さなくて構いません。A-2 で書き出す材料になります。
指示を3回に分けたことで、1回ごとに画面を見て方向を足せました。1回目で全部を頼んだ場合と比べて、どちらが自分の意図に近いものになったと思いますか。
分けることには手間もあります。3回聞けば3回待ちます。それでも分けたほうがよい場面と、まとめて頼んだほうが速い場面があります。境目はどこにありそうか、memo.md に1行だけ書いておいてください。A-5 で /selfcheck を回すと、この「まとめて頼む」の極端な形を体験することになります。
もう1つ気づいておきたいことがあります。ここまでの応答には、AI が何をしたかの一覧が付いていません。どのファイルを読んで、どこを書き換えたのかは、応答の本文を読んで自分で拾う必要があります。A-4 でこの状態が変わります。
カテゴリでの絞り込みを足したいとき、AI にどう問いかければ「なぜその実装にしたのか」まで返ってくるでしょうか。指示の文面を自分で考えて試してください。
作業指示ではなく、理由を引き出す問いを作るのがこの課題です。「カテゴリで絞り込めるようにしてください」だけでは、動くコードは返ってきても判断の理由は返ってきません。何を足せば理由が付いてくるかを、実際に2通り試して比べてみてください。
手順まで含めた発展版は exercises/challenges/ch01_category_filter.md にあります。時間が余った人向けです。A-2 の開始時刻になったら、途中でも切り上げてください。
index.html の中に備品名が直接書かれていないかを確認してください。書かれていた場合は「CSV の全件を読み込む形にしてください。データを HTML に直接書かないでください」と伝えます。memo.md に書いておいてください。A-2 の懸念点としてそのまま使えます。勢いで作ったものに何が足りないかを、AI に聞く前に自分の言葉で書き出します。ここで書いたものは、A-5 のパイプラインが読み込む入力になります。このステップから講師が巡回します。
| 触るファイル | handson/memo.md |
|---|---|
| 生成物 | ## A-2 の下に、自分の懸念5個以上と AI との差分 |
| 終わったと言える状態 | 自分の5個、AI の指摘3件以上、差分1行が揃っている |
| 難易度 | 2 / 3(順番を守れるかが勝負です) |
自分が何を不安に思っているかを、先に言語化します。順番には理由があります。先に AI へ聞くと、返ってきた指摘が「そういうものか」と頭に入り、自分の視点が上書きされます。あとから自分の懸念を思い出そうとしても、AI の指摘をなぞったものしか出てきません。
先に5分だけ自分で考えると、AI が挙げなかった項目が手元に残ります。この残りが、あなたが持っていて AI が持っていない情報の正体です。
実務上の理由もあります。ここで書いた懸念は A-5 で /selfcheck の入力になります。AI に点検させるとき、汎用の観点だけでなく「自分が気にしていること」を混ぜられると、点検の当たりが変わります。その効果を A-6 で比較します。
memo.md の ## A-2 見出しの下に、いま作ったアプリについて不安な点を 5個以上 書きます。箇条書きで構いません。文の途中で切れていても構いません。手が止まったら、次の5つの観点を順に眺めてください。答えを与える観点ではなく、視点を移すための手がかりです。
| 観点 | 自分に問いかける形 |
|---|---|
| データの扱い | 元の CSV を壊す動きは入っていないか。データが増えたときはどうなるか |
| 入力値 | 検索欄に思いがけない文字を入れたら何が起きるか |
| エラー時の挙動 | ファイルが読めなかったとき、画面には何が出るか |
| 他人が読めるか | 明日、隣の席の人がこのファイルを開いて意味がわかるか |
| 明日の自分が直せるか | 1か月後の自分が、どこを直せばよいか見当を付けられるか |
「セキュリティが不安」ではなく「検索欄にタグらしき文字を入れたら、そのまま画面に反映されそう」と書くほうが、あとで照合できます。抽象的な1行は、A-5 で点検観点に混ぜても拾われません。書き方の粒度が、そのまま点検の当たりに出ます。
5分経ったら、Claude Code に @kadaiA/index.html を対象として、危険な点・曖昧な点・実行時に警告が出そうな箇所を挙げてもらいます。深刻な順に並べるよう添えると読みやすくなります。
hints/step03_warning_check.md にあります。返ってきた指摘と、自分が書いた5個を並べて見ます。次の3つに仕分けてください。
3つ目があれば、その1件を memo.md に目立つ形で残しておいてください。太字でも記号付きでも構いません。A-6 の比較で使います。
自分が挙げられなかった項目のうち、AI が挙げたものはどれですか。それは知識が足りなかったからでしょうか、それとも見る時間が足りなかったからでしょうか。
逆に、自分は気づいたのに AI が触れなかったものはありますか。あるとしたら、それはなぜ AI に見えなかったのでしょう。考えられるのは次のような理由です。
3つ目に当たるものが出てきたら、それは A-3 で配置する CLAUDE.md が扱う領域です。設定ファイルで渡せる情報と、渡しても伝わらない情報の境目が、ここで一度見えます。
A-5 で /selfcheck がこの見出しを目印に中身を読み込みます。読み込まれた懸念は、点検の観点 A-13「受講者の懸念」として扱われます。空のままだと、点検が汎用の観点だけで行われ、A-6 の比較で差が出なくなります。
3番は、重なった件数を数えるだけでも構いません。「5個中2個が重なった。AI は入力値の扱いを3件挙げたが、自分は1件も挙げられなかった」のように書けていれば十分です。
AI の指摘は毎回同じにはなりません。隣の受講者と内容が違っていても、どちらかが失敗しているわけではありません。
指摘の粒度がばらつくこと自体が、文脈を渡していない状態の特徴です。何を重く見るかの基準を渡していないので、AI はそのつど自分で基準を決めます。決め方が毎回変われば、出てくる指摘も変わります。
A-5 では、観点リストを持った状態で同じ点検をします。そのときに何がどう変わるかを見るために、いまの指摘の件数だけでもメモしておいてください。
同じ質問を、/clear で会話の文脈をリセットしてからもう一度送ってみてください。/clear は、それまでのやり取りを AI の記憶から外すコマンドです。
指摘の内容はどれくらい変わりましたか。1回目は A-1 の作業の流れが会話に残っていました。2回目はそれがありません。同じファイルを見ているのに結果が変わるなら、AI が見ているのはファイルだけではないということです。
この観察は、CLAUDE.md が「毎回同じ前提から始められる仕組み」であることの裏返しです。A-3 で置いたあとにもう一度この発展課題を試すと、変わり方の幅が縮んでいることを確認できます。
配布フォルダの中で待機していた設定ファイル一式を、初めてプロジェクトに置きます。演習Aの折り返し地点です。このステップは全員同時に行います。講師の合図を待ってから始めてください。
AI を働かせるための足場のことです。本研修では、CLAUDE.md(共有の前提)と .claude/ の中の設定・コマンド・観点・サブエージェント、この一式をまとめてそう呼びます。馬具のハーネスと同じで、力を出させるためではなく、力を意図した方向に向けるための道具です。
| 触るフォルダ | handson 直下 |
|---|---|
| 生成物 | handson/CLAUDE.md と handson/.claude/(コピーによる配置) |
| 終わったと言える状態 | AI が CLAUDE.md の中身に触れて答え、応答の末尾にサマリーが付く |
| 難易度 | 1 / 3(コピーと開き直しだけです) |
「AI に指示を出す」以外に、「AI が読む場所にあらかじめ置いておく」という渡し方があります。この2つは実務での効き方が違います。指示は毎回書き直しになりますが、置いたものは全員に同じように効きます。その差を体験するのがこのステップです。
VSCode 左のエクスプローラで handson > _harness_kit > step1_kadaiA の順にフォルダを開きます。中には7つ入っていますが、handson 直下へコピーするのは上の3つだけです。
A-5 で回す /selfcheck は、docs/ の4本を点検の観点として読みます。ここが無いと、観点が足りないまま点検が進み、指摘が数件しか出ません。結果として A-6 の比較で差が出なくなります。コピーするのは CLAUDE.md・.claude・docs の3つです。
step1_kadaiA を開き、CLAUDE.md をクリック、Ctrl を押しながら .claude と docs をクリックして3つ選びます。Ctrl+C でコピーし、handson フォルダを開いて Ctrl+V で貼り付けstep1_kadaiA を開き、CLAUDE.md をクリック、Cmd を押しながら .claude と docs をクリックして3つ選びます。Cmd+C でコピーし、handson フォルダを開いて Cmd+V で貼り付け_harness_kit の中身は残しておきます.claude のように先頭にドットが付くフォルダは、Windows のエクスプローラや Mac の Finder では既定で見えません。Windows は「表示」タブの「隠しファイル」にチェック、Mac の Finder は Cmd+Shift+. で表示が切り替わります。VSCode のエクスプローラからは最初から見えています。
移動してしまった場合も演習は続けられます。元に戻したいときだけ講師に声をかけてください。
VSCode のエクスプローラで handson の直下を見て、CLAUDE.md・.claude・docs の3つが並んでいることを確認します。docs を開くとファイルが4本あります。A-0 で「無い」ことを確認した場所に、いま「ある」状態です。
設定ファイルはパネルの起動時に読み込まれるため、開いたままでは反映されません。アクティビティバーの Claude Code アイコンをクリックしてパネルを閉じ、もう一度クリックして開き直します。会話の履歴が残っている場合は /clear を送って区切ってから進めると、前の文脈が混ざりません。
A-0 で送ったのと同じ文を、そのまま送ります。文面を控えていない場合は、いま参照している設定ファイルと、そこに書かれているルールの要点を尋ねる形にしてください。
同じ問いを2回送ることに意味があります。問いが同じで答えが違えば、変わったのは問いの側ではなく環境の側です。
CLAUDE.md を開いて、見出しを上から順に見てください。次の9つが、いま AI が毎回読む前提です。
| # | CLAUDE.md の見出し | そこに書かれていること |
|---|---|---|
| 1 | フォルダ構成 | どこに何があるか。handson 直下を起点に見ること |
| 2 | 作業対象の指定 | @kadaiA/ のようにパスで指定する決まり |
| 3 | 課題A の要件 | 一覧・検索・詳細と、ブラウザで開くだけで動く条件 |
| 4 | 課題B の技術スタック | Spring Boot・H2・Thymeleaf。演習Bで効きます |
| 5 | 業務ルール(課題B) | 仕様の正本となる5項目 |
| 6 | コーディング規約 | 命名・コメント・関数の長さの決まり |
| 7 | 出力の作法 | 日本語で書く、対象ファイルのパスを先に示す、など |
| 8 | してはいけないこと | 元データの書き換え、依頼していない機能追加、git の実行など |
| 9 | 応答の最後に必ず出すもの | 実行サマリーの書式。A-4 の主題です |
このうち、A-2 で自分が書いた懸念に関係する見出しはどれですか。1つ選んで memo.md の ## A-3 に書いてください。関係するものが見つからない場合は、「自分の懸念は CLAUDE.md では手当てされていない」と書いてください。それも正しい観察です。
handson/CLAUDE.mdhandson/.claude/(settings.json / commands/selfcheck.md / skills/kadaia-review/SKILL.md / agents/reviewer.md)
A-3 は置くだけのステップです。書き換えたくなる箇所を見つけたら、memo.md に控えておいて、A-4 の発展課題で試してください。
handson 直下に CLAUDE.md・.claude・docs の3つがあるhandson/docs/ の中にファイルが 4本 あるCLAUDE.md の内容(技術スタック・業務ルール・してはいけないこと のいずれか)に触れている
3番は A-4 の主題です。ここでは「何か出るようになった」ことに気づければ十分です。もし出ていなければ、パネルの開き直しができていないか、コピー先が handson 直下ではない可能性があります。
コピーしただけで、AI に「これを読んでください」とは一度も言っていません。CLAUDE.md は Claude Code が起動時に自動で読み込む決まりになっています。
この自動読込があるから、チーム全員が同じ前提で AI を使えます。1人が毎回うまい指示を書いて成果を出す状態と、全員が同じ前提から始められる状態は、再現性の面で別物です。前者は書いた人が休むと止まります。
.claude/settings.json も同時に効き始めています。中を見ると deny という一覧があり、そこに書かれた操作は AI が実行できません。dummy_data.csv の書き換えもここで止めています。A-5 で点検と修正を任せても元データが壊れないのは、この1ファイルが理由です。
"deny": [ "Read(./**/.env*)", "Read(./**/*credentials*)", "Bash(rm -rf:*)", "Bash(git push:*)", "Edit(./kadaiA/dummy_data.csv)", "Edit(./kadaiB/src/main/resources/data.sql)" ]
.claude/settings.json を開いて中身を読んでください。deny の一覧に並んでいる行のうち、1行を選びます。その1行が無かったら何が起きるでしょうか。memo.md に書いてください。
たとえば Edit(./kadaiA/dummy_data.csv) を外したとすると、AI が「データ形式を整えます」と判断したときに元データを書き換えられる状態になります。書き換わったことに気づくのは、たいてい件数が合わなくなったあとです。
もう1歩進めるなら、自分の職場で「AI にやらせたくない操作」を1つ挙げ、それを deny に足す書き方を AI に聞いてみてください。書き方の正解より、何を止めたいかを言語化するほうが実務では重要です。
handson 直下に CLAUDE.md があるかを見ます。handson/kadaiA/CLAUDE.md のように1階層深い場所に入っていることがあります。handson ではない可能性が高いです。エクスプローラの一番上に表示されているフォルダ名を確認してください。kadaiA になっていたら、handson を開き直します。.claude フォルダが貼り付けられない、見えない_harness_kit から中身が消えたhandson 直下に CLAUDE.md・.claude・docs があれば問題ありません。B-0 で step2_kadaiB を使うので、そちらのフォルダが残っていることだけ確認してください。_harness_kit/step1_kadaiA/ から CLAUDE.md をコピーし直して上書きします。元ファイルは残っています。AI が「何をしたか」を毎回自己申告する状態を体験します。作業のログが応答に残ると、確認の手間がどう変わるかを見ます。あわせて、書かれていることと実際が一致しているかを自分で1回照合します。
| 触るフォルダ | kadaiA/ |
|---|---|
| 生成物 | 更新された kadaiA/index.html と、memo.md の ## A-4 |
| 終わったと言える状態 | サマリーの記載と実ファイルの変更が一致していることを確認できた |
| 難易度 | 2 / 3(読み方と照合が主題です) |
コードレビューで一番手間がかかるのは、変更内容を読むことではなく「どこが変わったかを探すこと」です。AI に作業させると、この探す作業が毎回発生します。応答の末尾に「どのファイルに何をしたか」が出ていれば、探す時間がなくなります。
もう1つ、書かれていることと実際が一致しているかを自分で確かめます。自己申告は便利ですが、鵜呑みにする前に1回は照合してください。1回照合すると、どの欄が信用できて、どの欄を毎回見るべきかの感覚がつかめます。
@kadaiA/index.html に対して、在庫が少ない備品の行を目立たせる表示を足してもらいます。伝える条件は次の2つです。
見せ方は指定しません。背景色でも、文字色でも、印を付けるのでも構いません。AI が選んだ見せ方を見てから、気に入らなければ次の指示で変えられます。
ここが取り違えやすい箇所だからです。「以下」と「未満」の取り違えは、点検の観点 A-08「数値と境界」でも見られます。課題Bの業務ルールでも同じ論点が出てきます。条件を書くときに境目を明示する癖は、AI に頼むときも人に頼むときも効きます。
応答の末尾に「実行サマリー」というブロックが出ています。次の4項目を上から順に読んでください。
| 欄 | 何が書かれているか | どう使うか |
|---|---|---|
| 動作 | 読み取り・編集・新規作成・コマンド実行を何回ずつ行ったか | 想定より数が多ければ、頼んでいない作業が混ざっている合図 |
| 従った設定 | CLAUDE.md のどの見出し、どの Skill、どのコマンドに従ったか | 見出し名が書いてあるので、その箇所を開いて照合できる |
| 対象ファイル | どのパスに何をしたか | 変更箇所を探さずに開ける |
| 未実施・保留 | 頼まれたが今回やらなかったこと | 人間が判断すべき残件がここに出る |
「従った設定」の欄には、## 出力の作法 のように CLAUDE.md の見出し名がそのまま書かれているはずです。書かれていたら、実際に CLAUDE.md を開いてその見出しを探してください。設定と応答が1対1でつながっていることが目で見えます。
サマリーの「対象ファイル」に挙がっているファイルを開き、書かれているとおりの変更が入っているかを目で確かめます。見るのは2点です。挙がっているファイルが実際に変わっているか。そして、挙がっていないファイルが変わっていないか。VSCode のエクスプローラでは変更のあったファイルに印が付くわけではないため、気になる場合はファイルの更新日時を見てください。
ブラウザを再読み込みして、在庫の少ない備品の行が目立っているかを確認します。dummy_data.csv の中で在庫5個以下の備品は 4件 です。目立っている行が4件あれば、条件の解釈も表示も合っています。
3件しかない場合は、5個ちょうどの備品が対象から外れています。境目の取り違えです。「5個ちょうども含めてください」と伝えて直してもらってください。
出てきた実行サマリーの中身を、memo.md の ## A-4 にそのまま貼り付けます。A-6 の比較で、ハーネスを入れる前後の応答の違いを説明する材料になります。
書かれていた場合、それは AI の判断で今回やらなかったことです。省いてよかったものでしたか。それとも、頼んだつもりだったのに落ちていたものでしたか。
「なし」と書かれていた場合も1つ考えてみてください。本当に残件はゼロでしょうか。たとえば、在庫のしきい値である5という数字は、いまコードのどこに書かれているでしょうか。直書きされているとしたら、しきい値を変えたい人はコードを探すことになります。これは残件と呼べる状態かもしれません。判断したことを1行、memo.md に書いてください。
handson/kadaiA/index.html(更新)handson/memo.md の ## A-4(実行サマリーの貼り付けと、気づいたこと1行)memo.md の ## A-4 にサマリーを貼り付けた
A-1 のときの応答には、このサマリーは出ていませんでした。出るようになったのは、CLAUDE.md の末尾に ## 応答の最後に必ず出すもの という節が1つあるからです。開いて読んでみてください。書かれているのは日本語の指示文です。プログラムではありません。
読み取りだけでも出させているのには理由があります。出たり出なかったりすると、出なかったときに「壊れたのか、そういう仕様なのか」がわからなくなります。毎回出ると決めておけば、出ないこと自体が異常の合図になります。
設定ファイルの1節で、AI の振る舞いをここまで変えられます。逆に言えば、書いていないことは変わりません。
実行サマリーに、あなたの仕事で欲しい項目を1つ足すとしたら何ですか。例を挙げます。「参照した外部情報の一覧」「変更前の状態に戻す方法」「この変更で影響を受けそうな他のファイル」。自分の職場のレビューで毎回聞かれることを思い出すと出てきます。
決まったら CLAUDE.md の ## 応答の最後に必ず出すもの を書き換えて、実際にその項目が出るか試してください。書き換えたあとはパネルを開き直します。出なかった場合、書き方に問題があります。何を書けば出るようになるかを2通り試して、違いを memo.md に書いてください。
この演習で書き換えた CLAUDE.md は元に戻さなくて構いません。A-5 の点検には影響しません。在庫の表示そのものを深めたい場合は exercises/challenges/ch02_low_stock_highlight.md に進んでください。しきい値を画面から変えられるようにする課題です。
CLAUDE.md の末尾を確認します。## 応答の最後に必ず出すもの の節がそのまま残っているかを見てください。A-3 の発展課題で書き換えた場合、書式が崩れていることがあります。_harness_kit/step1_kadaiA/CLAUDE.md からコピーし直せば元に戻ります。## フォルダ構成 だけ、コードを書き換える依頼なら ## コーディング規約 が加わる、といった違いが出ているかを見てください。まったく変わらない場合は、「今回の依頼で実際に参照した見出しだけを書いてください」と一言添えます。kadaiA/style.css が載っていませんが、更新されています」と伝えると、書き漏らしか、意図的に省いたかが返ってきます。自己申告を1回検算する経験として、むしろ良い状態です。memo.md に記録しておいてください。コマンド1本で、AI が観点に沿って成果物を点検し、中間データを残し、直し、直しきれたかを再判定して、人間向けの報告書を出すところまでを体験します。演習Aの山場で、70分のうち20分をここに使います。
| 触るフォルダ | handson 全体(.work/ が新しくできます) |
|---|---|
| 生成物 | kadaiA/REPORT.md と .work/ の中間データ4本 |
| 終わったと言える状態 | 報告書に指摘・修正・残件の数字が入り、中間データが4本揃っている |
| 難易度 | 3 / 3(実行は簡単、読み解きに時間を使います) |
A-1 から A-4 まで、依頼はすべて会話でした。会話は柔軟ですが、毎回書き方が違います。同じ点検を明日もう一度やろうとすると、同じようには書けません。手順を1本のファイルに書いておけば、コマンド名を打つだけで同じ手順が動きます。
このステップでは、実行中に何が起きているかを見ることに時間を使います。結果だけ受け取ると、中で何をしたのかがわからないまま報告書を信じることになります。.work/ に残る途中経過を開けば、どのファイルを見て、何を根拠に、何を直すと決めたのかが全部追えます。
/selfcheck のパイプライン全体図。入力に memo.md の ## A-2 を入れているのが設計上の要点です。受講者が自分で書いた不安を点検の観点に混ぜることで、A-6 の比較が成立します。Claude Code パネルで次を送ります。
/selfcheck kadaiA
/ を打つと候補が出ます。selfcheck を選び、引数に kadaiA を付けて送信してください。引数を省略しても kadaiA が対象になりますが、明示するほうが何を点検したかが記録に残ります。3分から5分かかります。途中で止めないでください。
.work/ を眺める
実行が始まったら、VSCode のエクスプローラで handson/.work/ フォルダを開いたままにします。フォルダは実行開始時に作られます。ファイルが順に増えていく様子が見えます。
番号順に増えます。増えていく間、AI は点検専任のサブエージェント(.claude/agents/reviewer.md)を呼び出しています。このサブエージェントは読み取りしかできない設定になっていて、コードを書き換えません。点検する役と、直す役を分けてあります。
完了したら handson/kadaiA/REPORT.md を開きます。6つの節が並んでいます。
| 節 | 何が書かれているか |
|---|---|
| 1. 結論 | 3行以内。何件指摘し、何件直し、何件残したか |
| 2. 数字のまとめ | 指摘の内訳(高/中/低)、修正件数、残件数、ループ何周 |
| 3. 直したもの | 観点・ファイル・変更内容・確認方法 |
| 4. 直さなかったもの | なぜ直さないと判断したか |
| 5. 人間に判断してほしいこと | AI が決められなかったもの |
| 6. 使った観点と出どころ | どのファイルのどの見出しに基づくか |
まず1節と2節を読み、数字を頭に入れてください。そのあと5節に飛びます。5節がこの報告書で一番重要です。AI が「自分では決められない」と判断した箇所が並んでいます。全部を AI が決めて終わる報告書にしていないのは、そこが実務での線引きだからです。
報告書を読んだあと、.work/ の4本を順に開きます。読む観点を挙げておきます。
| ファイル | ここを見てください |
|---|---|
| 01_inventory.md | 点検対象に何が挙がっているか。dummy_data.csv は「参照のみ」になっているはずです。データを点検の材料にはするが、書き換え対象からは外す、という区別が最初に付けられています |
| 02_findings.json | 指摘1件を開いて、ファイル 行 内容 根拠 の4つが埋まっているか。根拠 には、どのファイルのどの観点に基づく指摘かが書かれています。根拠のない指摘は出さない決まりです |
| 03_fix_plan.md | 全部は直していないはずです。判断の基準は、深刻度「高」は必ず直す、「中」は依頼外の機能追加にならず既存の動作を壊さないものだけ、「低」は直さない、というものです |
| 04_loop_log.md | 開始時に高が何件あって、何件直して、終了時に何件残ったか。そして次の周に進んだのか、止まったのか |
04_loop_log.md の一番下を見ます。止まった理由が書かれています。次の3通りのどれかです。
自分がどれだったかを memo.md の ## A-5 に書いてください。周回数と止まった理由の2行で構いません。
ブラウザを再読み込みして、一覧50件・検索・詳細が動くことを確認します。点検の過程で修正が入っているため、直した結果として壊れていないかを人間の目で見ます。
hints/step04_pipeline.md にあります。04_loop_log.md の最終行に書かれます。
数は増えましたか。増えたとしたら、増えた分は何を見ているから出てきたのでしょうか。観点の一覧は .claude/skills/kadaia-review/SKILL.md に書かれています。開くと、A-01 から A-13 までの観点が表になっています。
| 観点ID | 見るもの | 深刻度 |
|---|---|---|
| A-01 | ブラウザで開くだけで動くか | 高 |
| A-02 | データが全件(50件)出るか | 高 |
| A-03 | 入力値の扱い(検索キーワードをそのまま画面に流していないか) | 高 |
| A-04 | 元データの保全(dummy_data.csv を書き換えていないか) | 高 |
| A-05〜A-11 | 検索の挙動・詳細表示・未設定の値・数値と境界・日付の表記・エラー時の挙動・定数と重複 | 中 |
| A-12 | 読みやすさ(コメント・関数の長さ・未使用の変数) | 低 |
| A-13 | 受講者の懸念(memo.md の ## A-2 のうち他で拾えなかったもの) | 内容による |
この表を見てから、もう一度自分の5個を読み返してください。同じことを別の言葉で書いていた項目はありませんか。逆に、この表に無い視点を自分が書いていませんでしたか。
最後の観点 A-13 に注目してください。自分の書いた懸念が指摘に入っていたら、内容 の冒頭に「受講者の懸念より:」と付いています。探してみてください。
handson/kadaiA/REPORT.md(最終報告・人間向け)handson/.work/01_inventory.mdhandson/.work/02_findings.jsonhandson/.work/03_fix_plan.mdhandson/.work/04_loop_log.mdhandson/kadaiA/index.html(修正が入っている場合)実行が終わったあとに開けることが、この演習の中身です。研修後に社内で説明するときも、途中経過が残っているほうが伝わります。CLAUDE.md の「してはいけないこと」にも .work/ の削除禁止が書かれています。
kadaiA/REPORT.md が生成され、指摘件数・修正件数・残件数が 数字で 書かれている.work/ に中間ファイルが 4本 揃っている04_loop_log.md に 2周以上 の記録がある(1周で深刻度「高」が0件になった場合は1周でも可。その旨がログに書かれていること)REPORT.md の第5節「人間に判断してほしいこと」に 1件以上 書かれている4番が空の報告書は、この演習の趣旨から外れています。空だった場合は「判断が分かれた箇所か、置いた前提を1件挙げてください」と追加で依頼してください。
/selfcheck は .claude/commands/selfcheck.md に書かれた手順書です。中身は日本語の文章で、プログラムではありません。
開いて読んでみてください。「0. 前提と引数」から始まり、入力を読む、棚卸しを書く、点検する、修正する、ログを書く、報告書を書く、という順に手順が並んでいます。表の書式まで見本付きで指定されています。書いてあるとおりに AI が動いた結果が、いま手元にある .work/ と REPORT.md です。
「コマンドを作る」とは、この文章を1本書くことです。プログラミングの知識は要りません。必要なのは、自分がいつもやっている手順を、抜けなく順番どおりに書き出せることです。手順が言語化できていない作業は、コマンドにもできません。
もう1点、実行中にサブエージェントを1件ずつ順番に呼んでいたことにも触れておきます。20名が同時に実行する研修環境では、並列で走らせると接続先の上限に当たります。手順書の中で「並列で起動しないでください」と1行指定してあります。動く仕組みを書くだけでなく、動かす環境の都合も手順書に書ける、という例です。
.claude/skills/kadaia-review/SKILL.md の観点リストに、自分の職場でレビューされる観点を1つ足してください。観点IDは A-14 から続けます。
足すときに難しいのは「具体的に見るもの」の欄です。ここが抽象的だと、点検時に拾われません。「可読性を確認する」では拾えません。「関数が50行を超えていないか」なら拾えます。コードのどの記述を見れば判定できるかまで書くのが条件です。
足したら /selfcheck kadaiA をもう一度回します。指摘は増えましたか。増えなかった場合、原因は2つ考えられます。そもそも該当する箇所が無かったか、観点の書き方が拾える形になっていなかったかです。どちらかを切り分けるには、index.html を自分の目で見て、その観点に該当しそうな箇所があるかを探します。あるのに拾われなかったなら、書き方の問題です。
2回目以降の .work/ は上書きされます。1回目の結果を残したい場合は、REPORT.md を REPORT_1.md に名前を変えてから回してください。
docs のコピーを飛ばしている可能性があります。handson/docs/ にファイルが4本あるかを確認してください。無い場合、点検の観点が読めないまま進みます。.work/01_inventory.md の「読めなかったもの」の欄に、読めなかったファイル名が出ています。_harness_kit/step1_kadaiA/docs をコピーし、パネルを開き直してから /selfcheck kadaiA を回し直してください。/selfcheck が候補に出てこない.claude/commands/selfcheck.md が handson 直下に配置されているかを確認してください。A-3 でコピーしたあと、パネルを開き直していない場合も出ません。開き直してから、もう一度 / を打ってみてください。/selfcheck kadaiA をもう一度送ってください。.work/ にファイルが1本でもできていれば、途中まで進んでいた証拠です。.work/ にファイルが2本しかできていない01_inventory.md を開いて、「読めなかったもの」の欄を見てください。入力のどれかが見つからずに止まっている場合があります。多いのは memo.md の ## A-2 が空のケースです。空でも進む作りにしてありますが、書いてあるほうが結果は濃くなります。01_inventory.md の点検対象一覧に kadaiA/index.html が入っているかを確認してください。03_fix_plan.md を見れば、どの指摘に対して何を変えたかが書かれているので、変更箇所の見当が付きます。この状況自体が「AI の修正も検算が要る」という体験です。memo.md に1行残しておいてください。04_loop_log.md が1周で終わっているkadaiA/dummy_data.csv を開いて、1行目が見出し行、データが50行であることを確認してください。.claude/settings.json の deny でこのファイルの編集を止めているため、書き換えは起きない設定になっています。設定なしで作ったときと、設定を置いてコマンド1本を回したあとで、何がどう変わったかを比較ファイルとして手元に残します。研修の価値は当日できたことではなく、月曜日に職場で再現できることで決まります。この10分はその差を埋めるために使います。
| 触るフォルダ | kadaiA/ |
|---|---|
| 生成物 | handson/kadaiA/COMPARE.md |
| 終わったと言える状態 | 3列の表があり、3列目に自分の手で1行足してあり、持ち帰りの節が書けている |
| 難易度 | 2 / 3(AI に任せない部分があります) |
「Claude Code が便利だった」では、聞いた人は何をすればよいかわかりません。「設定ファイルを1本置いたら、レビューの観点が毎回同じになった」なら、置く場所と中身を聞けば真似できます。この10分で作るのは表1つと数行の文章です。
Claude Code に、次の2つのファイルを突き合わせて kadaiA/COMPARE.md を作らせます。
@memo.md の ## A-2:素の状態で自分が書いた懸念@kadaiA/REPORT.md:ハーネスを入れて回した点検の結果表の列は次の3つにします。
| 列 | 中身 | どこから来るか |
|---|---|---|
| 素の状態で気づけたこと | A-2 で自分が書き出せた項目 | memo.md の ## A-2 |
| ハーネスを入れてから拾えたこと | /selfcheck の指摘のうち、A-2 に無かったもの | REPORT.md と .work/02_findings.json |
| まだ誰も拾えていないこと | どちらにも出ていないが、実務では問題になりそうなこと | あなたの頭の中だけ |
hints/step04_pipeline.md にあります。3列の意味だけ伝えれば、文面は自由です。
COMPARE.md を開いて、1列目と2列目を突き合わせます。自分が書いた懸念のうち、/selfcheck でも拾われたものはどれですか。自分だけが挙げていた項目は、2列目に対応するものがないはずです。その行が、あなたが持っていて仕組みが持っていない視点です。
3列目「まだ誰も拾えていないこと」には、自分の手で1行以上書き足します。AI が拾えなかったのは、能力の問題ではなく、渡していない情報があるからです。何を渡していなかったのかを1行で書けると、CLAUDE.md に何を書き足すべきかもわかります。
書きにくければ、次の問いから考えてください。
COMPARE.md の末尾に ## 自分の職場に持ち帰るなら という見出しを作り、1行から3行書きます。自分の仕事のどの作業で、今日の何を使えそうか。使うとしたら、最初に用意するファイルは何か。ここも AI に書かせず、自分の言葉で書いてください。他人が読んで意味が通るかは気にしなくて構いません。あとで読み返すのは自分です。
もう1つ、数に表れない変化があります。毎回同じ観点で見てくれるという再現性です。A-2 で AI に聞いたときは、聞くたびに指摘の内容が変わる状態でした。/selfcheck は観点リストを持っているので、明日回しても同じ観点で見ます。
1人で使うときと、5人のチームで使うときとで、どちらの価値が大きくなると思いますか。1人なら、頭の中に観点があれば足ります。5人だと、頭の中は共有できません。誰が回しても同じ観点で点検されることが、そのままレビュー品質の下限になります。逆に言えば、観点リストに書き忘れたものは、チームの誰も見なくなります。ファイルに書くとは、そういう責任を持つことでもあります。
この考えを1行、COMPARE.md か memo.md に足しておいてください。
## 自分の職場に持ち帰るなら の節(1行以上)COMPARE.md に 3列 の表がある## 自分の職場に持ち帰るなら に 1行以上 書いてある表の行数は問いません。1列目が3行しかなくても、それが A-2 で書けた分なら正しい記録です。実際より多く見せる必要はありません。
このステップの成果物は、研修後にそのまま社内共有できる形にしてあります。ファイル名と場所を控えておいてください。handson/kadaiA/COMPARE.md です。
| ファイル | 何が書いてあるか | 誰に見せると効くか |
|---|---|---|
| kadaiA/COMPARE.md | 導入前後の差 | 上司、チームの意思決定者 |
| kadaiA/REPORT.md | 点検の結果と、人間に残した判断 | 同僚、レビュー担当 |
| .work/02_findings.json | 指摘の根拠付き一覧 | 仕組みを作りたい人 |
| CLAUDE.md | 何を前提として渡したか | 同じ設定を自部署で作りたい人 |
| .claude/commands/selfcheck.md | 手順を文章で書くとどうなるか | 同上 |
社外に持ち出す前に、業務データや社名が混ざっていないかは必ず確認してください。本研修のデータは架空の備品データです。
COMPARE.md を、上司に見せる1枚の報告として整えるとしたら、どの情報を足し、どの情報を削りますか。足す候補は、たとえば所要時間、何人で何分かかったか、この仕組みを自部署に置くのに必要な作業。削る候補は、演習の手順そのものや、技術的な用語です。
AI に「この読み手向けに書き直してください」と頼むとき、次の3通りを実際に試して、出力の違いを見比べてください。
3番まで書くと出力がどう変わるかを見ておくと、明日から書く指示の粒度が決まります。余力があれば exercises/challenges/ch04_csv_export.md にも進めます。作った一覧を CSV で書き出す課題で、dummy_data.csv を書き換えない制約の中でどう実現するかを考えます。
REPORT.md が無いと言われるkadaiA/ の中を確認してください。REPORT.md が無い場合は、.work/02_findings.json を代わりに使って比較表を作ることもできます。指摘の一覧はそちらにも入っています。memo.md の ## A-2 が空だった## 自分の職場に持ち帰るなら は、休憩時間や研修後に書き足せます。書く場所を作っておくだけでも、あとから戻ってこられます。
70分が終わった時点で、handson フォルダには次のものが残っています。どれも研修後に開き直せます。会場では時間の都合で読み飛ばした箇所も、ファイルは残っているので後から追えます。
| ファイル | いつできたか | 中身 |
|---|---|---|
| kadaiA/index.html | A-1・A-4・A-5 | 設定なしで作り、機能を1つ足し、設定ありで点検・修正したアプリ本体 |
| memo.md | A-0 〜 A-5 | 自分の懸念と、各ステップの気づき。A-2 の内容は点検の入力にもなりました |
| CLAUDE.md | A-3 | AI が起動時に自動で読む共有の前提。9つの見出しで構成されています |
| .claude/ | A-3 | 設定・コマンド・観点・サブエージェント。settings.json の deny が元データを守りました |
| .work/ の4本 | A-5 | 点検の途中経過。棚卸し・指摘・修正計画・ループログ |
| kadaiA/REPORT.md | A-5 | 人間向けの報告書。第5節に「人間に判断してほしいこと」が残っています |
| kadaiA/COMPARE.md | A-6 | 導入前後の比較と、自分の職場への持ち帰り |
同じ AI が、設定ファイルの有無で振る舞いを変えました。変わったのは3つです。応答の形(実行サマリーが毎回付く)、点検の観点(毎回同じ13項目で見る)、そして守られる範囲(deny に書いた操作は実行されない)。どれもファイルを置いただけで、AI に「こうしてください」と毎回書いてはいません。
それでも、A-6 の3列目は空きませんでした。設定ファイルに書いていないことは、AI には見えないままです。何を書けば見えるようになるか、何は書いても伝わらないかの線引きは、自分の職場のファイルを書きながら見つけることになります。演習Bでは、この設定ファイル一式を別の題材に持ち込んで、初見の Java プロジェクトを相手にします。
手順の本体は配布フォルダの exercises/ にあります。詰まったときの参考プロンプトは hints/ にまとまっています。基本操作・用語集・トラブル対処は手元ガイドの共通編を、演習Bは課題B編を参照してください。